2010年10月18日月曜日

週刊朝日別冊 昭和29年第2号

1954「たのしい酒」

誌 名 週刊朝日別冊 昭和29年第2号 初夏読物号
発 行 朝日新聞社
発行日 昭和29年6月10日
編集人 扇谷正造
目次画 宮本三郎
判 型 B5判 平綴じ 表紙共全164ページ
定 価 70円

<表紙の言葉>「たのしい酒」・・・花森安治じしんの解説
酒は飲めないが、酒をのむ人とムダ話をしている時間は、たのしさ限りない。生れつきが、たいへんなおしゃべりの性だから、相手がシラフだとあとでいつもイヤになるほど、こちらがひとりでしゃべりまくる。その点、すこし向うが飲んでいるくらいが、ほどほどにつり合いがとれるからだ。そんな酒は、だから注文をつけさせてもらうと、洋酒の方がいい。日本酒ショウチュウの類は、こんどは向うが度をすごして、もてあましてしまう。

【ひとこと】本誌は週刊だから<今週の表紙>、別冊は隔月刊だから<表紙の言葉>としたようだ。
花森は「生れつきが、たいへんなおしゃべり」と言っている。談論風発であった。相手をうませなかった。池島信平は「ラジオだけに出ていても、メシを食える人間である」と評したが、花森は口だけでなく、なにより手を動かしていなければおれないタチの人間であった。花森は心筋梗塞にたおれて以来、タバコをやめ、酒席をさけるようになった。ひとを嫌いになったわけではない。