2011年2月14日月曜日

最新出版社執筆者一覧 昭和21年度版

1946

書 名 最新出版社執筆者一覧 昭和21年度版
編輯人 田所太郎
発行人 石井滿 
発行日 昭和21年9月20日
発 行 日本出版協會
発行所 東京都神田区淡路町2−9
印刷者 荒井政吉
印 刷 東光印刷株式会社 
判 型 B6判 並製平綴じ 表紙共全248ページ
定 価 10円

奥付

【ひとこと】装釘が花森安治であるとは、本書のどこにも記されていない。小生の独断である——と開きなおるまでもなく、だれの目にも花森の描き文字であることは明らかであろう。製図用の丸ペンをもちいたヨコの画(線)の細さ、とめの力強さは、花森ならではの持ち味。ここでは躍動感が加味されて、名簿なのに、なんだかたのしげだ。

花森安治が所属していた大政翼賛会は、敗戦の2カ月前に解散している。浪々の身となった花森は、妻子をやしなうため、松江高校いらいの親友田所太郎が編集する『日本読書新聞』のカットをかきながら、出版界の情報をえていた。当時、田所のもとで働いていたのが大橋鎮子で、このときの花森との出会いが衣裳研究所(暮しの手帖社の前身)の創設へとつながってゆく。この経緯は、たびたび語られているところである。

衣裳研究所の記載ページ (画像の上でクリックすると拡大できます)

ウラ表紙

【もうひとこと】花森装釘本をあつめるにあたっては、全国の古書店のおせわになっている。金沢文圃閣の田川浩之さんもそのお一人だが、註文書籍と共に、たくさんの自社刊行案内書を送ってくださった。 戦前から戦後にかけての出版界の動向について、多くの文献資料をあつめ整理し上梓されている。その造詣の深さは瞠目するばかりだ。新しいものだけで、それも東京一辺倒の情報だけで、文化は醸成されるのではないことを再認識させていただき、元気づけられた。お礼申しあげます。

金沢文圃閣『戦後初期出版社と文化人一覧』パンフ裏面

田川さんは、『戦後初期の出版社と文化人』全4巻のパンフレットにそえて、下掲の昭和23年版と26年版表紙のコピーを送ってくださった。田川さんのお見立てどおり、これらは花森安治の描き文字ではない。年度部分は色版(別版)なのだから、数字を入れかえれば元版を流用できたのだが、亜鉛版を鋳つぶしたのかしら。それにしても格のちがいは歴然である(収載内容ではない。念のため)。
 
昭和23年版および26年版の表紙コピー