2011年3月4日金曜日

東京の谿間 寺崎浩

1947

書 名 東京の谿間
著 者 寺崎浩
発行人 中村梧一郎 
発行日 昭和22年11月30日
発 行 八雲書店
発行所 東京都文京区森川町111
印刷者 山元正宣
印刷所 三晃印刷株式会社 
判 型 B6判 上製平綴じ 本文238ページ
定 価 75円

見返しに貼った奥付 
ウラ表紙
【ひとこと】寺崎浩を紹介した記事をみると、詩を西条八十、作曲とピアノを小松耕輔、小説を横光利一に師事したとされている。しかし本書後記には「この書を書きすすむことが出來たのはひとへに川端康成氏の援助と激勵によるのであつて、この作を川端康成氏に捧げたい」と結ばれていた。横光利一が急逝したのは、本書が出たあとの昭和22年12月30日のことだから、寺崎はすでに「師離れ」していたのだろうか。

扉の絵のあつかいに趣向をこらしている。ヨコ長の風景画の角度を変えてタテにあしらい、なおかつ扉ページの端まで印刷して余白をのこさない裁ち切りにした。つまり、絵の両端と地の部分3ミリをカットしている。挿絵画家の作品であれば、装釘者の花森に、こんな「乱暴」はできない。じぶんで絵をかいたからこそ大胆になれるのだろう。とはいえ自由を得るには、いささかの勇気がいるものだ。

藤田加奈子さんのブログ『日用帳』には、寺崎浩が装釘した西村晋一著『演劇明暗』(沙羅書店、昭和12年)が紹介されている。寺崎は、劇作家真船豊とも親交があったといわれており、その二人の作品を、花森安治はどのような経緯から装釘することになったのか、興味深いところである。正直にいえば、戦後まもない時期の花森のしごとについて、小生はまったく知らなかった。いまになって悔やまれる。

表紙全体

扉を横にすると、正面中央には駅の高架ホーム。どこの駅かしら?