2011年6月27日月曜日

人間・世間 福原麟太郎

1969


書 名 人間・世間   
著 者 福原麟太郎(1894−1981) 
発行人 大橋鎭子
発行日 昭和44年11月5日
発 行 暮しの手帖社
発行所 東京都中央区銀座8−5−15
印刷人 北島織衛
印 刷 大日本印刷株式会社
判 型 B6版 上製丸背ミゾ平綴じ ビニカバ 函 本文300ページ
定 価 720円


ウラ表紙

表紙全体


【ひとこと】花森安治の装釘による福原麟太郎エッセー集の二冊め。色紙を切った文字で書名と著者名をあらわした。表紙と背文字それぞれ別につくっている。こどもの図画工作のように見えるが、文字の配置、構成、配色のどれをとっても、花森安治の感覚が躍如。マネできそうで、できない。小器用につくっても、かえって味がでないから、ふしぎだ。芹沢銈介とは文字の表情がちがう。

カギの絵は、創元社の世界推理小説全集にも描かれているように、花森はこのんでえがいた。福原は戦前、東京高等師範学校在学中、チェスタトンの探偵小説(ブラウン神父シリーズ)を翻訳し『英語青年』に発表したという。でも本書に探偵小説の話はなかった。ちょっと残念。



本文見出し

奥付


【もうひとこと】本書に特徴的なことが二つある。ひとつは見出しである。花森安治のレイアウトでは、見出し部分はすくなくとも七行以上はとって、ゆったりしているけれど、ごらんのように本書では本文9ポにたいして見出しに26ポの活字をつかい余白がない。このレイアウトは、たとえば「流行」のように、全体に見出しの文字数がすくないことにもよっているのだろうが、冒頭の文字だけを飾り文字などで大きくあつかう洋書のやりかたにヒントを得たのではなかろうか。

もう一つは、花森が装釘ではなく「装本」の字句をつかっているところだ。花森なりの区別がありはしないかと架蔵本をしらべてみたが、はっきりしない。けれど気まぐれとも、おもえない。


函 本体表紙と同デザイン