2011年10月10日月曜日

日本の映画 飯島正

1956


書 名 日本の映画 −話題の作品をめぐって−   
著 者 飯島正(1902−1996)
発行人 服部幾三郎 
発行日 昭和31年8月10日
発 行 同文館
発行所 東京都千代田区神田神保町1−23
印刷人 亀井辰朗
印 刷 三省堂ミタカ工場 
製 本 栄久堂製本
判 型 新書判 並製カバー 糸綴じ 口絵共本文180ページ
定 価 150円


表紙全体


奥付


【ひとこと】同文館「映画の知識シリーズ」全15巻のうちの一冊。このシリーズのカバーは、花森安治のおなじイラストをつかっており、内容は口絵(写真)が24ページもあって、なつかしさが募る。

花森のカバー絵は、芋版画のようにも見えるけれど、フチのかすれ具合や模様が、版画のそれとは微妙にちがっている。ともあれ感心するのは、四色の円形模様の配置、その間合い。けっして等間隔ではないが、絶妙の均衡をたもっている。しかも「映画の知識シリーズ」の下に余白をとり、それを「同文社」の社名でささえることによって、全体の構図に緊張をあたえている。こういうなんということもない単純なデザインに、花森安治の持ち味がよくあらわれている、と小生はおもう。


カバー全体


【もうひとこと】本書末の広告に、「映画の知識シリーズ」全15巻の書名と著者を紹介していた。
『映画の教育』阿部慎一、『映画の歴史』清水千代太、『外国の映画界』植草甚一、『日本の映画』飯島正、『映画宣伝戦』南部圭之助、『撮影所に働く人々』岸松雄、『映画の美術』松山崇、『映画撮影術』島崎清彦、『映画俳優術』尾崎宏次、『映画用語事典』野口久光、『映画社会学』南博、以下は書名のみで執筆者未定。『映画の生まれるまで』『映画のシナリオ』『映画監督』『映画の音楽』。

ちなみに昭和三十年代前後の『暮しの手帖』は、津村秀夫が「映画ノート」をかき、その後「映画通信」のタイトルで、筈見恒夫につづき双葉重三郎がかいている。のちに本田静哉、古谷綱正、沢木耕太郎ら、いわゆる業界以外のひとに映画評を書かせるようになった。

【さらにひとこと】花森安治のしたで働いていた六年のあいだ、二ど小生ら部員を映画を観につれて行ってくれた。 一どは邦画(日本映画)で『八甲田山』、脚本橋本忍、監督森谷司郎、1977年東宝作品である。映画をみた翌日、花森は言った。「橋本忍が訴えたかったのは、リーダーの資質ということだろうね」。花森は花森なりに、行く末を危惧するところがあったのだろう。