2012年1月27日金曜日

【くらしとデザイン『暮しの手帖』花森安治の世界】

●島根県立美術館の案内リーフレット

オモテ面
ウラ面

【ひとこと】百聞は一見に如かず。門田勲にならって申さば、
「アルチザン花森安治の、能書のないところを、篤とごらんあれ」——と言ってもピンと来ないかもしれぬ。今様に申すなら、古美術鑑定家の中島誠之助さんふうに、「ほんものに間違いありません。いい仕事してますねえ。すばらしい作品を見せてもらいました」と感激すること請け合い!

2012年1月14日土曜日

【森の休日】花森忌によす

きょうは花森安治の祥月命日である。

花森は昭和53年(1978)1月14日未明なくなった。だから三十五回めの忌日にあたる。かくもながい歳月がたったのかとおもうけれど、いまもその日のことは、忘れられない。父や母が死んだ日のことを憶えているのとおなじである。

正月二日、家族で青山にお参りしたあと、ことしも芝増上寺に寄った。花森安治の墓所がある。御佛前にはいつものように正月らしいお花と共にお菓子が供えられていた。それだけでなく、ことしはま新しい五冊の本がお供えしてあった。ご家族のこころがしみじみ伝わる。お参りしてやっぱりよかった。

きょねんの暮だった。読売新聞夕刊「見聞録」に〝「暮しの手帖」は今〟という連載記事がのった。機関銃をぶっぱなすかのような歯切れのよい文章に、小生ごときアタマのわるい老人はめんくらったけれど、おかげで唯一理解できたことばがあった。引用する。

《「どんな評価が加わっても構いません。父の仕事の意味を考えてくだされば」》

——花森安治のご息女、土井藍生さんのことばであった。このひと言によって、ほかの記事文言がすべてかすんでしまったのを、小生おもわずにはいられなかった。5回の連載ながら、そのどこにも花森安治の「仕事の意味」について言及されていなかったからだ。撃たれた。さすが花森安治の愛娘である。

それゆえ小生こうも読めた。新聞の記事で花森安治に関心をもったひとは、まずは生誕百年を記念して刊行された五冊の本を読んで、いまこそ「花森安治の仕事の意味」を考えよう——あるいは記者も、裏声でそう呼びかけたかったのではあるまいか。尾崎真理子さんという記者、なかなかの皮肉家と見た。以下に五冊をかかげる。



花森安治戯文集1 カバー

書 名 花森安治戯文集1   
著 者 花森安治(1911.10.25−1978.1.14)
装 丁 坂口顕+新野富有樹
発行者 中村文孝
発行日 平成23年6月20日
発 行 LLPブックエンド
発行所 東京都千代田区神田錦町3−11−8武蔵野ビル302
印 刷 株式会社シナノパブリッシグプレス 
判 型 A5判 上製丸背ミゾ カバー 糸綴じ 本文336ページ
定 価 2500円+税



花森安治戯文集2 カバー

書 名 花森安治戯文集2   
著 者 花森安治(1911.10.25−1978.1.14)
装 丁 坂口顕+新野富有樹
発行者 中村文孝
発行日 平成23年9月10日
発 行 LLPブックエンド
発行所 東京都千代田区神田錦町3−11−8武蔵野ビル302
印 刷 株式会社シナノパブリッシグプレス 
判 型 A5判 上製丸背ミゾ カバー 糸綴じ 本文336ページ
定 価 2500円+税


花森安治戯文集3 カバー

書 名 花森安治戯文集3   
著 者 花森安治(1911.10.25−1978.1.14)
装 丁 坂口顕+新野富有樹
発行者 中村文孝
発行日 平成23年12月10日
発 行 LLPブックエンド
発行所 東京都千代田区神田錦町3−11−8武蔵野ビル302
印 刷 株式会社シナノパブリッシグプレス 
判 型 A5判 上製丸背ミゾ カバー 糸綴じ 本文340ページ
定 価 2500円+税


KAWADE夢ムック 文藝別冊花森安治 表紙

書 名 KAWADE夢ムック 文藝別冊 花森安治    
装 丁 重実生哉
編 集 大西香織
発行者 小野寺優
発行日 平成23年12月30日
発 行 河出書房新社
発行所 東京都渋谷区千駄ヶ谷2−32−2
印刷者 北島義俊
印 刷 大日本印刷株式会社 
判 型 A5判 並製 無線綴じ カラー共本文232ページ
定 価 1200円+税


花森安治のデザイン カバー

書 名 花森安治のデザイン   
著 者 花森安治(1911.10.25−1978.1.14)
装 本 佐藤礼子
発行者 阪東宗文
発行日 平成23年12月19日
発 行 暮しの手帖社
発行所 東京都新宿区北新宿1−35−20
印 刷 凸版印刷株式会社 
判 型 B5判 並製 無線綴じ カバー 本文184ページ
定 価 2200円+税


花森安治生誕百年を記念し、とにもかくにも五冊の本が上梓されたことをよろこびたい。さらに欲を申すならば、いまだ未整理未収録の作品がまとめらることを切望する。花森安治の思想をみとめるのであれば、その思想は時をへても、かならずや人々の暮しに生きて、いつの世にも輝くにちがいない、と信ずるからにほかならぬ。花森安治の思想は、その人生とそのしごとの中に、だれの目にもあざやかだ。


【お礼とおわび】昨年10月25日をもってブログの更新を止めましたが、いまだに閲覧してくださる人が絶えません。正直、おどろきもし、ありがたいとおもっております。調子にのったわけではありませんが、きょうは祥月命日ですから、言わずもがなのことを綴りました。ご寛恕いただければしあわせです。

なお、タイトルの「花森忌」は小生がかってにつけたもの。くれぐれも早とちりなさいますな。日本が生んだこの偉大なアルチザン花森安治の命日に、どなたか佳いよびかたを考えてくださいませんか。